薬膳と聞くと、「火鍋で使われているから辛いもの」「薬みたいな味がしそう」「高級でなかなか手の届かない」というイメージがあるのではないでしょうか?薬膳は中国の伝統的な食事法から派生したもので、食材や調味料を使って健康や美容をサポートする食事法です。 初めての薬膳を始める際には、一杯のスープから始めるのがおすすめです。 それでは、以下のポイントを参考にしながら、自分の体調に合った食材やレシピを探してみましょう。
「薬膳」は「漢方」の考え方を用いて旬の食材で作る毎日のことです。
「漢方」は実は日本独自のものなのはご存知でしょうか?
自然の哲学に基づいた古代中国医学が日本に渡り、日本の風土に合わせて発展したもの。
漢方には漢方薬、鍼灸、あんま、気功、薬膳など、「医学」「薬学」「養生学」の全てが含まれています。
つまり、簡単に言うと薬膳とは
中国の古代医学を日本仕様に合わせ、旬の食材を使って毎日食べること
といったところでしょうか。
病名はつかないけれどなんとなく調子が悪い「未病」の状態。
家事に仕事に...と忙しい生活をしていると「まあ一時的なものかな」とそのまま過ごしてしまうこともありますよね。
薬膳・漢方はそんな「未病」と呼ばれる不調な状態への対策をとても大切にしていて、日常に取り入れやすいように工夫されているところも魅力の一つです。
不調を見つめ、体に必要な「養生」をしていきましょう。
薬膳で用いる食材はほとんどが身近なものです。
例えば、梅や酢の「酸味」は筋肉を引き締め、汗や尿などが出過ぎるのを止める収斂(しゅうれん)作用があり、症状としては汗かきや下痢で悩んでいる場合に効果があります。
薬膳の世界では「五味(ごみ)」「五色(ごしき)」「五臓(ごぞう)」「五志(ごし)」「五季(ごき)」など様々な切り口で心と身体に必要な養生を見出します。全てを理解するのは大変なので、ここでは全体像をとらえやすい五行色体表を使います。
こちらの五行色体表を見れば、身体のお悩み別におすすめの食材が分かりますのでご活用ください。
材料(2人分)
A
・水2-3カップ
・鶏手羽6本
・なつめ2個(あれば)
・高麗人参5枚(あれば)
・しょうが1片薄切り
・ねぎ1本ぶつ切り
・にんにく4片(潰しておく)
B
・鶏ガラスープの素小さじ1
・酒大さじ2
・塩ひとつまみ
トッピング(お好みで)
・塩胡椒
・糸唐辛子
・ごま油
1.Aの材料を鍋にいれ水から煮込む
2.沸騰したら灰汁を丁寧に取り除く
3.Bを入れて10分ほど煮る。
(もち麦を入れる場合は30分煮る。)
4.仕上げにトッピングをお好みで入れて完成。
高麗人参やなつめは手にいれることが難しければ、まずは入れずに作ってみてください。
もち麦・オートミールを入れて煮込むとお粥になり朝ごはんにも良いですね。
あたたかくやさしい味に身も心もほどけていきますよ。
材料(2人分)
・小豆(炊いたもの)大さじ4
・米1合
・水2合分
トッピング
・塩
・しょうが
・梅干し
・塩昆布
など
1.研いだお米と小豆を鍋に入れ
中火で10分、後は弱火で粥状になるまで煮込む。
2.お皿に盛りお好みのトッピングで味を整え完成。
小豆は胃腸の調子を整えて、水の巡りをよくします。
梅雨時期やPMS、飲酒などで新陳代謝が悪くなるときやむくみの解消におすすめです。
毒素を排出して膿を除くため、吹き出物、腫れ物などの肌荒れや便秘にも有効です。
夏は薄着でクーラーの効きが良い室内にいるケースが多く、身体が冷えがち。そんなエアコンによる冷えに取り入れたいのが温かい梅の薬膳スープです。
梅は発熱や下痢、汗のかき過ぎによる、喉の乾きを潤します。また、喉の腫れや痛みを和らげるので風邪気味の時にも。
さらに、気の巡りを良くし食欲不振を解消する玉ねぎや
むくみをとるわかめの入れることで夏特有の身体の悩みを和らげます。
材料(2人分)
・米1合
・水2合分
・梅干し(大)2個
・梅酒 大さじ2
・わかめ 適量
・玉ねぎ 1/2個
・だし汁400ml
・醤油 小さじ1
1.玉ねぎは薄くスライスとしておく。
1.研いだお米を鍋に入れ中火で10分、後は弱火で粥状になるまで煮込む。
2.鍋にだし汁、梅酒を入れ、玉ねぎ、わかめを入れ醤油を入れる
3.スープを椀に装い梅干しを添えて完成。
写真のように雑穀米を入れるのもおすすめです。
今回、薬膳をテーマにお話ししましたがいかがでしたか?
夏バテや食欲不振には酸っぱいものが良い、とか風邪を引いたらしょうが湯と飲むと良い、などの俗にいう「おばあちゃんの知恵袋」に似ているところから、実は「おばあちゃんも知恵袋」も薬膳につながっていたのかも知れませんね。
本当に薬膳は知れば知るほど奥の深く面白い世界です。
ぜひあなたも体調に合わせた一杯の薬膳スープで心も体も健やかに過ごしてみてはいかがでしょうか?