通常、フローリングの張り替えはお部屋全体を一気に行うのが標準的な手法です。ただし、重い物が落ちてできたへこみやペットの引っかき傷など、一部分だけが損傷することもよくあります。このような場合、「この箇所だけを修復できないかなぁ」と悩む方も多いでしょう。
結論的には、フローリングの一部分だけを張り替えることは可能ですが、注意が必要なポイントもいくつか存在します。以下では、部分的なフローリングの張り替えを実施する際に留意すべき点や、そのメリット・デメリットについて詳しくご紹介いたします。
◆フローリングの部分張り替えは可能だが…
フローリングのトラブルに対処する際、分的に張り替えて修繕することは珍しいことではありません。傷がある場合や、合板フローリングの接着剤が剥がれて一部が浮いた場合など、フローリングを一部分だけ張り替えることは、有効な対処法の一つと言えます。ただし、マンションなどの一部の物件では、管理規約や使用細則により、元々床の変更が禁止されていることがあります。そのような物件では、部分的な張り替えであっても床の工事を行うことが制約されています。
賃貸物件の場合も同様で、入居者は単独で床の張り替えを行うことはできません。通常、床の修繕は大家さんの責任であり、入居者が独断で行うと、退去時にトラブルの原因となる可能性があります。そのため、床に問題がある場合は必ず大家さんや管理会社に相談し、適切な対処を行うようにしてください。
◆フローリングの部分張り替え方法
フローリング材は、一般的に接着剤だけでなく、長辺方向の横面にある凹凸の溝とでっぱりを交互に組み合わせて固定されています。部分的なフローリングの張り替えには、主に次の2つの方法があります。（1） さねを切り落とす方法
まず、問題のあるフローリングの周囲をマスキングテープで固定し、交換する範囲を選定します。次に、カッターや丸ノコを使用して溝に沿ってさねの部分を切断します。切り取った部分を下地から取り外し、下地の表面を整えた後、接着剤を用いて新しいフローリング材を取り付けます。
この方法を自分で行う場合、特に注意が必要なのは合板フローリングの場合です。合板フローリングは、無垢フローリングに対して薄い合板を接着し、その表面に薄い天然木の板を貼り付けたものです。通常、板材の表面には複数の溝があり、幅の狭いフローリング材が複数列に見えるようになっています。しかし、これらの溝が本物のものかどうかを注意深く確認する必要があります。誤って判断すると、つなぎ目以外で板を分断してしまう可能性があります。
また、さねを切り落としてもフローリング材は接着剤で固定されているため、力を込めて引き剥がすのは慎重が必要です。過度な力をかけると周囲のフローリングも傷つけてしまう可能性があるため、慎重な作業が求められます。
（2） さねを残す方法
部屋の端から問題のある場所までフローリングを取り外し、トラブルのある部分を新しい製品と交換し、残りのフローリングを再度張り直す方法もあります。この手法は、お部屋の端から問題の場所が近い場合などに有効です。さねを切り落とさないため、仕上がりは綺麗ですが、手間と時間がかかるデメリットもあります。また、張り直した後には、床と壁に接する巾木の取り付け位置にも注意が必要です。
◆フローリングの部分張り替えのメリット・デメリット
「床の部分的な張り替えには、いくつかのメリットとデメリットがあります。【部分張り替えのメリット】
・家具の移動が不要
床全体を張り替える場合、すべての家具を別の場所に移動させる必要がありますが、部分的な張り替えの場合、関連するエリア以外の家具を動かす必要がないことがあります。
・工期が短い
使用される工法によりますが、通常、部分的な張り替えの方が短い工期で済むことがあります。業者に依頼する場合、半日から1日ほどで作業が完了することが一般的です。
【部分張り替えのデメリット】
・既存の床材の完全再現が難しい
床材は改良が続けられており、同じ製品がずっと生産されているわけではありません。数年が経過すると、既存の床材と同じものを見つけることが難しくなる場合があります。また、同じ製品であっても、経年変化や太陽光などの影響で色調が異なることも考えられます。
・交換した部分が後から浮いてくる可能性
通常、床材同士はさねでしっかりと固定されていますが、部分的な張り替えではさねがないため、下地の接着剤が弱まれば浮き上がる可能性があります。この場合、釘を打てば収まりますが、見た目が損なわれる可能性があります。
◆まとめ
フローリングの一部分を張り替えることは初見では簡単そうに思えますが、ここで述べたように留意すべき点が多く、その難易度はむしろ全面張り替えよりも高いと言えます。DIYで部分的な張り替えは可能ですが、美しく仕上げるのは非常に難しいです。また、業者に依頼しても、完璧に復元できるという保証はありません。仕上がりにこだわるのであれば、全面的な張り替えを検討することがおすすめです。
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